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麻痺ラットが脳からの信号を受けずに再歩行可能に


[2009/09/29]

麻痺ラットが脳からの信号を受けずに再歩行可能に

薬剤投与、脊髄の電気刺激、ロコモーター(歩行運動)トレーニングと呼ばれるリハビリテーション技術を組み合わせた脊髄損傷治療により、麻痺ラットが脳からの信号を受けずに歩行することが、新しい研究によって示された。麻痺は、脊髄損傷の際に脳と情報をやりとりする神経線維が損傷または切断された場合に生じる。

ロコモーショントレーニングは受傷後も脊髄回路が保たれるという概念を用いたリハビリテーション。欧州諸国の一部では広く使用されており、脊髄損傷患者に吊り具をつけ、理学療法士が患者の脚を歩行パターンに沿って運動させる。呼吸、膀胱機能、血糖値および損傷部位レベル以下の血液循環の改善がみられ、麻痺による皮膚障害の予防に有用な可能性があるという。

今回の研究で、スイス、チューリヒ大学神経学部教授のGregoire Courtine氏らは、下肢を麻痺させたラットに吊り具をつけ、ゆっくりと動くトレッドミルに乗せ、脊髄の神経回路の機能を高めるセロトニン作動薬(受容体刺激薬)quipazineキパジン(日本国内未承認)を投与した。また、硬膜外麻酔を用いて損傷下の脊髄の硬膜とその周囲の保護膜に電流を流した。

研究の結果、薬剤と電気刺激の併用によってラットは歩行し始めた。ロコモータートレーニングを1日1回、数週間行うことで、後ろ向き、横向きの歩行、ランニングなど正常に近い荷重歩行が可能となった。脳は歩行を命令できなかったため、トレッドミル上で電気刺激を与えたときのみ歩行可能であった。研究結果は、「Nature Neuroscience(ネイチャー神経科学)」オンライン版に9月20日掲載された。

著者の一人、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)生理学・神経生物学教授のV. Reggie Edgerton氏は「今回の研究は下部脊髄が事実上、正常な荷重歩行運動を支持するのに十分な回路を持つことを示したもの。脊髄は歩行に関連する感覚情報を理解し、それに反応し、その情報に基づいて歩行を持続する」という。Courtine氏は「脊髄の律動回路を活性化する神経プロテーゼ(人工補装具)の可能性が示唆された」としている。

今回の研究に資金提供した米クリストファー・アンド・ダナ・リーヴ基金(ニュージャージー州)のSusan Howley氏は「以前の研究ではこれらの技術の1つまたは2つを用いてどうにか歩行運動ができた。しかし、荷重歩行が実現したのは今回が初めて」と述べている。Courtine氏らは現在、デバイスを開発中で、3-4年内に小規模な臨床試験を開始する予定。(HealthDay News 9月20日)

http://www.healthday.com/Article.asp?AID=631146
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