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患者自身の細胞から透析用の血管移植片シャントを作製


[2009/05/07]

患者自身の細胞から透析用の血管移植片シャントを作製

患者自身の細胞を用いて組織工学により作製した血液透析用シャントに良好な成績が認められたことが、英医学誌「The Lancet」4月25日号に掲載された。

現在、透析患者の約半数は合成樹脂性チューブのシャント(動脈と静脈を結ぶ管)を通して週3回の透析治療を受けているが、合成樹脂は患者自身の静脈で作ったシャントに比べて長持ちしにくいという問題がある。また患者の半数は、自己静脈がシャント作製に適していない。今回の研究を率いた米Cytograft Tissue Engineering社(カリフォルニア州)のTodd N. McAllister氏によると、合成素材をいっさい使用せずに作製された血管移植片(vascular graft)に、長期移植に耐える強度および耐久性が認められたのは今回が初めてであるという。

今回の研究では、透析を受ける末期腎疾患(ESRD)の患者10人にこのシャントを使用した。被験者は全例、過去にシャント移植に失敗したか、合成樹脂シャントの使用が必要な患者であった。患者の手の甲から採取した細胞を培養して細胞シートを作り、これを管状に形成して患者に移植した。3カ月にわたりこのシャントの安全性、安定性を追跡した後、透析開始後の有効性を評価した。

その結果、安全性を確かめる段階で3例のシャントの機能に問題が生じたほか、1人が試験を中断、1人がシャントとは無関係の原因により死亡した。残る5人については、6〜20カ月間にわたり移植片を透析治療に使用することができた。シャントの開通を維持するために外科手術を必要としたのは1人だけであった。全体では、7人が1カ月以上、5人が6カ月以上シャントを使用することができ、標準に近い性能が認められた。

McAllister氏によると、透析患者の平均余命は約6年であり、自己静脈から作製した血管移植片を1〜2回使用した後、合成樹脂チューブの移植が必要になるという。合成樹脂チューブは約12カ月しか持たないのに対し、この新しい血管移植片は1〜5年使用することができ、患者の細胞を保存しておけば必要に応じて新たに移植片を作ることもできる。作製費用は高価だが、使用できる期間を考えれば費用対効果がよく、作製を効率化すればさらに費用を削減することも可能だと同氏は述べている。なお、実用化には3, 4年かかると予測している。同社はこのほか、冠動脈や他の血管損傷の修復用血管についても研究中だという。

専門家らは、この新しい技術について「組織工学の歴史に残る画期的な技術」と述べており、将来的には心臓弁や心臓組織にも応用できる可能性もあるとする一方、費用対効果が問題であると指摘している。別の専門家は、この知見は予備段階のものであり、さらに多大な研究を重ねる必要があると指摘。広く利用できるようになるのはずっと先のことであり、現行の技術に比べてどれほど優れているのかもわからないと述べている。(HealthDay News 4月23日)

http://www.healthday.com/Article.asp?AID=626381
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