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厚生労働省研究班 / 10万人を対象に調査、糖尿病罹患者のがんリスクは3割増


[2006/10/04]
厚生労働省研究班が実施している10万人を対象とした多目的コホート(JPHC)研究から、糖尿病に罹患しているとがんを発症するリスクが2〜3割高まるという調査結果が出た。この結果は9月25日、米国の内科学専門誌「アーカイブズ・オブ・インターナル・メディシン」で発表された。 この研究の母体となるのは厚労省の研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)による「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究」。生活習慣病などのリスク要因を調査し、その後長期追跡期間中に発症する、がん等との関連性を研究するというもの。 日本各地(岩手〜沖縄)に住む40歳〜69歳の男女10万人(男性46,548人、女性51,223人)を調査対象として特定し、アンケートを実施。このうち男性の7%、女性の3%が「糖尿病の既往あり」と答えた。そこで、糖尿病既往ありの人となしの人とでその後のがんの発症率を比較した。 調査開始から11年間に男性3907人、女性2555人が何らかのがんにかかった。糖尿病既往ありの人はなしの人と比較して、男性が27%、女性が21%、がん罹患率が上回り、糖尿病にかかると20〜30%ほどがんにかかりやすくなる傾向にあるという結果が出た。 またがんの種類によってはそのリスクはもっと高まり、糖尿病の既往がない人に比べ、男性の場合は肝臓がんで2.24倍、腎臓がんで1.92倍、膵臓がんで1.85倍の罹患率。女性の場合は卵巣がんで2.42倍、肝臓がんで1.94倍、胃がんで1.61倍だった。 なぜ糖尿病の既往があるとがんにかかりやすくなるのか、という理由はまだ解明されていない。糖尿病と診断されると医療機関で継続的にフォローアップされるため、ほかの病気も早期に発見しやすくなるという可能性もある。今回の調査で「糖尿病即、がん」という解釈にはならない。しかし、糖尿病とがんの因果関係にはいくつかのの要因が考えられるという。 ひとつには、糖尿病で高インスリン血症やIGF-I(インスリン様成長因子1)の増加など体内に変化が生じ、これが肝臓や膵臓などの部位における腫瘍細胞の増殖を刺激して、がん化を促進するのではないか、というもの。そのほかに肝炎ウイルス感染、ピロリ菌感染もインスリン分泌に影響を与えるという報告もあり、卵巣がんなど性ホルモン関連がんでは、成長ホルモンの関与も推察される。 さらに肥満や運動不足によっても多くの場合高インスリン血症が引き起こされるため、生活習慣病である2型糖尿病とがんには共通の因子があるからだとも考えられる。糖尿病が将来のがん発生に影響を及ぼす可能性があると同時に、糖尿病とがんの両方に共通する生活習慣によって、どちらの疾病も誘引する危険性が高まるということが言える。 食習慣、運動、喫煙、飲酒などの不適切な生活習慣がさまざまな疾病の要因となることは明白であり、これを改善することでがんを未然に防ぎ、糖尿病をはじめとする生活習慣病全体の予防につながることは間違いない、とこの研究は結んでいる。
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