原料特集 差別化進む認知度抜群の健康素材 ウコン英語名:turmericターメリック 学名:Curcuma longa 情報提供:丸善製薬株式会社
肝機能改善作用、前立腺肥大抑制作用、ダイエット効果など、健康素材として多様な機能性を誇り、知名度も抜群のウコン。市場の拡大とともに各サプライヤーによる差別化も明確になってきている。その有効成分として有名なクルクミンの吸収性の高さを訴求するなど、200億円超ともいわれるウコン市場は、次なるステージへと進みつつある。そうした中で丸善製薬は、クルクミンとともに含まれるウコンの精油成分・セスキテルペンに着目し、ウコンそのものが本来備える機能性食材としてのパフォーマンスをアピールする。
飲料発売で一躍有名となった古来からの健康素材
ウコンは、熱帯アジアに分布し、アジア、インド、沖縄、中国東南部や東南アジアで栽培されているショウガ科クルクマ属の宿根草。多肉質の根茎は薬用のほか、カレー粉に重要な香味、黄色素として利用されるなど、世界中で親しまれている。日本に導入されたのは平安時代ともいわれるが、その名が一躍知られることとなったのは大手食品メーカーから含有飲料が発売されたことがきっかけとなった。
肝機能改善はじめ機能性は多種多様
その機能性は多様だが、有効成分はウコンの根塊部に含まれるクルクミンとされる。強力な抗酸化作用、抗炎症作用があり、肝機能改善作用があることなどが知られている。昨今はクルクミンの吸収性の高さなどを訴求し、差別化する製品も出始めている。

そうした中で有用植物を中心にそのものが持つ有用成分の抽出にこだわる丸善製薬は、ウコン中にクルクミンとともに豊富に含まれる精油成分に着目。特にその主成分・セスキテルペンにフォーカスする。
精油成分・セスキテルペンが持つ機能性
ウコンセスキテルペンは、ターメロンと呼ばれる単環式セスキテルペンで主な成分としてar-ターメロンが確認されている。同社の「ウコン乾燥エキスF」、「ウコン濃縮エキス粉末M」には、総クルクミン含量とほぼ同じ量のウコンセスキテルペンが含まれる。漢方生薬として、使用する場合のウコンは、根茎を粉砕し、そのまま摂取する。そうしたことから、セスキペルテンにもクルクミン同様、何らかの機能性があると考えるのは、当然ではある。
研究データ 情報提供:丸善製薬株式会社
ラットによる効果測定実験
ラットを用いたガラクトサミン誘発肝障害に対するウコンセスキテルペン、クルクミンの効果を調べた実験が行われている(図参照)。給餌飼料にウコン抽出物から分画したセスキテルペン画分0.5%、クルクミン画分1%を配合し、ラットに約10g/1日の割合で摂取させ、給餌開始から7日後にラットにガラクトサミンを投与。肝障害を誘発させたときのGOT、GPT、LDHの変化を確認した。
その結果、ウコンセスキテルペンを投与することでGOT、GPT活性が抑制され、肝障害予防効果が確認された(図参照)。クルクミンとの比較では、ウコンセスキテルペンはGPT活性の上昇抑制について大きく、GOT活性の上昇抑制については、クルクミンが大きかった。そうしたことから、クルクミンはアルコール性肝炎の予防効果、ウコンセスキテルペンは慢性肝炎の予防効果が期待される。さらにLDH活性では、クルクミンよりもウコンセスキテルペンがその活性抑制に優れる結果となった。一般的にLDH活性は、急性肝炎のときに上昇することが知られており、ウコンセスキテルペンは急性肝炎の予防にも効果が期待される。
セスキテルペンの肝機能改善効果
飲料用途での特許取得で広がる活用範囲
多様な機能性があるウコンは、さまざまな形状で末端製品として利用されている。そうした中で同社のウコン素材は、ニーズの多い、飲料用途での特許を取得している。クルクミノイドは乾燥粉末状態では比較的安定しているが、吸湿状態や水溶液状態では常温でも徐々に分解し、特徴的な色も消失する。特に保存温度が高い場合や加熱処理を受けた場合には、速やかに分解する。そこで同特許では、クルクミノイドを安定化する方法として、そうした弱点を解消している。具体的には、水溶液状態のクルクミノイドに該水溶液のphを約5.5〜2.5にするに十分の可食性酸またはその水溶性酸性塩を共存させることを特徴とする安定化法である。水溶液状態のクルクミノイドが酸性、特にph約5.5以下の酸性できわめて安定になるという新知見に基づいている。
トピックス
活況の末端市場
ウコンの末端市場は根強い支持を受けますますにぎわっている。人気に火をつけたドリンクタイプが堅調に推移。そうした中でより飲みやすく味付けしたものや他の機能性成分も配合し、より健康効果を強調したものなどが登場するなど、競争は熾烈になっている。
錠剤やカプセルタイプも多くの製品が発売されている。さらにチュアブルやグミなどより手軽に摂取できる形状のものも発売され、ウコンはますます身近になっている。また、シャンプーにも採用されるなど、引く手数多の健康素材としてその地位は揺るぎないものになりつつある。
ウコン歴史
ウコンは古くから健康素材として生活に浸透してきた。古代インドの伝承医学「アーユルベーダ」で用いられ、中国では漢方薬として使用されている。日本でも平安時代から使われているとされ、世界中で重用されている。まだまだ未知の部分が多いが、クルクミンのほか、豊富に含まれる精油成分との相乗効果でその薬効が一層高まると考えられている。


ウコンのメジャー化、そして今後の展開と研究
香辛料として世界中で親しまれているウコンは、中国では芳香性健胃、利胆、肝臓機能改善などを目的とした生薬として、またインドアーユルヴェーダ伝統医学では消化不良、駆風効果、鎮咳作用を有する植物として古くから利用されてきました。従来、ウコンの機能性成分としてはウコン色素と呼ばれるフェニルプロパノイドの一種、クルクミンが挙げられます。β−ジケトン構造を有するクルクミンは強力な抗酸化作用、抗炎症作用があるため、クルクミンやウコンは薬物投与による肝障害を改善する作用があることが知られています。しかしながらウコンはクルクミン以上に精油成分を多く含んでいることから、ウコンの肝障害改善作用はクルクミノイド以外の成分にもあるのではないかという疑問が浮かびました。そこでウコンエタノール抽出物を分画すると、主にクルクミン画分と精油成分画分に大別され、これら画分はいずれもガラクトサミン誘発肝障害を予防する効果があることが解りました。
中国において生薬目的で使用されるウコンの摂取方法は、根茎を粉砕し、そのまま摂取するというものです。機能性食品素材としてウコンを考えた場合、ウコンが本来持っているクルクミンや精油成分といった機能性成分を同時に摂取することが望ましいと考えられます。

山形大学 農学部 食料生命環境学科 五十嵐喜治教授
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