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薬事法をひもとく

【第3回】行政指導について(1)

行政指導の概略

薬事法違反をしていた場合、多くの場合は刑事事件で立件する前提として行政指導が行われます。それでは、実際にはどのような行政指導が行われているのでしょうか?今回は薬事法における行政指導の概要を解説します。

行政指導の実情
薬事法違反として行政指導される例はインフォーマルなものも含めれば年間何十万件にのぼると言われています。
基本的には行政指導は非公開とされています。しかし、行政機関が自ら発表する場合や、マスコミにリークして新聞報道される場合など、公開されている行政指導事例もあります。

※東京都の場合、毎年健康食品に関する試買調査を実施しており、その結果を公表しています。詳しくは都庁HPの中にある「いわゆる健康食品ナビ」をご覧下さい
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/supply/index.html

行政指導の内容
薬事法違反をしていた場合、行政は製品に関しては製品回収を命じたり、示唆したりできます。また販促物に関しては「直ちにやめよ」又は「次からやめよ」ということができます。

したがって、製品に記載した表現が薬事法違反となる場合には製品回収もありうるので、その表記には細心の注意が必要です。

他方、販促物の表現違反の場合、製品回収はありえないのですが、例えばテレビCMなどで薬事法違反をして、そのCMが放映中止となると大変な損害を生じてしまいます。健康食品のCMを作る場合には細心の注意が必要でしょう。

行政指導の端緒
■ 端緒1
薬事法違反を理由とする行政指導が行われるきっかけのほとんどは、同業者による「チクリ」だと言われています。チクリがあった場合には必ず指導は行われま すので、健食業者はくれぐれも同業者に気をつけなければなりません。現実には健食マーケットを見ると薬事法違反の広告が山ほど出回っていますが、それらは 単にチクリが行われていないだけなのです。指導された場合に「他の会社も同じ表現を使っているじゃないか」という言い訳は通用しません。よって「他社も やっているから」という安易な考えは危険です。

■ 端緒2
行政自体もマーケットをパトロールし、違反を見つける例もあります。メジャーなテレビや新聞、雑誌の広告などは3ヵ月に1回くらい定期的にチェックされていると言われています。インターネット上の販売店も随時チェックされていると言われています。
また、冒頭で掲載したように東京都は「試買調査」を行っています。具体的にはサンプリング健食を購入。違反疑義のある表現を指導するというやり方です。


まとめ

今回は行政指導とはどういったものかについて解説しました。実際に行政指導を行う権限があるのはその健食業者の本店所在地の都道府県庁です。したがって、行政指導を熱心に行っているところとそうでないところがあるようです。
次回はそうした行政のスタンスを具体的な指導事例を交えて解説します。

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