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薬事法をひもとく

【第2回】健康食品と薬事法-その全体像

法律の観点から

「医薬品」については、薬事法にそれを定義する規定があります(薬事法第2条1項)。 そのため、医薬品は薬事法上、厚生労働省の許可と承認を得なければなりません。
では、健康食品と関わるのはどの部分なのでしょうか。

薬事法
健康食品は第1回で述べた4つのファクターから医薬品と判断されると法律上医薬品として扱われます。しかし、このような健康食品は承認と許可を得ていない ので、法律上、「無承認無許可医薬品」と呼ばれます。そして、こうした健康食品を売ると“無承認無許可の医薬品を販売した”ということで薬事法24条で違 反となります。
また、こういう健康食品の広告をすると無承認無許可の医薬品の広告をしたということで薬事法68条で違反となります。

46通知
昭和46年に厚生省の局長が健康食品に関して出した通知で、4つのファクターもここに示されています。健康食品規制のバイブルとも言えるものです。

薬事法違反となったときは
1.多くの場合、行政指導を受けます。
 → 年間で推定数十万件
2.場合によっては、刑事事件となります。
  → 年間で推定100件程度
その他、JAROや雑誌広告審査会など民間の機関から指導を受けることもあります。


効能効果の標榜を例外的に許す制度

国は例外的に効能効果の標榜を制限的に認める制度を認めるようになりました。それが“特定保健用食品”と“栄養機能食品”などです。

特定保健用食品
言いたい効能が科学的に証明できるのであれば、国が個々の商品を個別に審査して効能標榜を認めようという制度であり、2005年5月現在、約500品目が許可を取得しています。
しかし、許可取得にはいくつかの難点があります。

■難点
1.審査が非常に厳しく、新しい成分や新しい効能には3~5年、費用は2~3億かかる。
2.政策的配慮から特保は医薬品のゾーンに入ってはならない。

栄養機能食品
「あらかじめ決められた基準をクリアすれば、あらかじめ決められた表現を表示してよい」という制度(自己認証)。

ex.ビタミンCについて言えば、ビタミンCが35~1000mg含まれていれば、「ビタミンCは皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です」と表示してよい。

その他の健康食品
特保と栄養機能食品は、国が作った制度であり、これらをあわせて保健機能食品といいます。したがって、健康を指向する食品を制度的に分類すると、国が創設した保健機能食品と、国が絡まない一般の健康食品に分けられます。

健康を指向する食品の制度的分類

健康を指向する食品の制度的分類

まとめ

特保は、今尚ハードルが高く、その割にはたいした効能は言えないと業界人は批判しており、栄養機能食品のアイテムも少なすぎると批判されています。
ビジネスでは依然として「その他の健康食品」のニーズが高いのが実情で、これをビジネスとしてチョイスした場合、伝えたい効能を如何に適法に伝えていくかが腕の見せ所となっています。

健康食品は何らかの健康効果を狙って作られています。そんな中、効能効果をいえないということは、すなわち製品の説明ができないということです。業者にとってこれは大きな問題となります。よって効果的な表現の工夫がもとめられるのです。

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