TOPページ > 薬事法研究室 > 基礎編【薬事法をひもとく第18回】

薬事法をひもとく

【第18回】健食と化粧品の販促表現研究講座
「事例で学ぶ販促研究」その6

新シリーズとして「健食と化粧品の販促表現研究講座」をスタート、今回が6回目となります。実践的な事例でのbefore-afterはお役に立っているでしょうか?

今回も、実際の健康食品と化粧品それぞれの広告事例を一つずつピックアップ、添削前と添削後の広告文面をご紹介していきたいと思っています。理論を生かし、実務につなげる良いステップですので、ぜひ学習を進めて頂きたいと思います。皆様の販促表現の一助になれば幸いです。

【健康食品 篇】~ビタミンサプリの広告の一部です。

■ 添削 前

抗酸化対策の一番の決め手は、日々のリセット!
私たちの体は、日々ダメージと戦い続けています。だからこそ抗酸化対策で一番大切なのは、受けたダメージを、いかに蓄積させないかということ。つまり、その日に受けたダメージをその日のうちにリセットできれば、いつまでも、若く健康な体を維持することができるのです! 肌や体のトラブルが増えた方、見た目年齢が進行している方は、ダメージを還元する本来の力が失われているのかもしれません。 将来の肌と体のためにも、内面からの抗酸化ケアを、ぜひ日常化していきましょう。

さあ、この文章表現はどうでしょうか? 添削していただきたいと思います。すっと読めてしまう文面ですが、直したほうが良い点が6箇所ほどあります。

■ 添削 後

(1)若々しさの一番の決め手は、日々の「(2)ケア
私たちの体は、日々ダメージと戦い続けています。だからこそ一番大切なのは、受けたダメージを、いかに蓄積させないかということ。つまり、(3)日常のケアで、いつまでも、(4)若々しく健康な体を維持することができるのです!
(5)美容、健康トラブルが気になる方は私達に備わる本来の力が失われているのかもしれません。

将来の(6)美しさと健康のためにも、内面からのケアを、ぜひ日常化していきましょう。

いかがでしょうか。下線の部分が修正点で、添削された箇所になります。

(1) 「抗酸化対策」 → 抗酸化は言えません。「若々しさ」に言い換えます。

(2) 「リセット」 → 「ケア」として下さい。健食で“改善”を述べることはできません。

(3)「その日に受けたダメージをその日のうちにリセットできれば」→「日常のケアで」として下さい。(1)と同じです。

(4)「若く」→ 「若々しく」として下さい。老化防止は×。「若々しく」は「若く」よりぼかされて抽象的なのでOK。

(5) 「肌や体のトラブルが増えた方、見た目年齢が進行している方は、ダメージを還元する」→ 「美容、健康トラブルが気になる方は私達に備わる」に言い換えます。

(6) 「肌と体」→「美しさと健康」に変えます。特定部位はNGです。

【化粧品 篇】~スキンケアシャンプーの広告の一部です。

■ 添削 前

髪の根元から毛先までアミノ酸がくまなく浸透、痛んだ髪を内側からしっかり補修・保湿。新しく生れてくる髪の毛もダメージに強い健康的な状態を保ったまま伸び続けます。これで、どんなに傷んだ髪の毛も、シルクのように滑らか・ツヤツヤに大変身!

■ 添削 後

髪の根元から毛先までアミノ酸がくまなく浸透、痛んだ髪を内側からしっかりケア・保湿。新しく生れてくる髪の毛(1)には健康的な頭皮の状態を保つことが必要です。これで、どんなに傷んだ髪の毛も、シルクのように滑らか・ツヤツヤ(2)

いかがでしょうか。下線の部分が修正点で添削された箇所になります。

(1)「もダメージに強い健康的な状態を保ったまま伸び続けます」 → 化粧品の効能範囲を超えているのでNG。化粧品で許されているのは“頭皮・毛髪をすこやかに保つ”です。「には健康的な頭皮の状態を保つことが必要です」に言い換えます。

(2)「に大変身」 → 削除します。状況好転は医薬品的標榜です。

以上、事例を2つ説明して参りました。

皆さんが実務で使われるのは、生きた文章であり、その表現を考えるには基本的な表現知識(言い換えの手法や因果関係の切断 等)と多くの経験が必要です。審査の厳しい中で許された新聞広告の表現や信用あるセミナーやメルマガ等で学習した表現、その引出しをいかに多くもっているかが決め手になります。「学習の眼」を持つ意識を忘れずに、今後もがんばって頂きたいと思います。

TOPページ > 薬事法研究室 > 基礎編【薬事法をひもとく第18回】