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第5回

赤字続きだった健食事業部を黒字転換
成功の鍵はコピー、商品、アフターフォロー

サントリー株式会社 食品カンパニー健康食品事業部部長 新免芳史氏


事業参入当初は赤字続きだった健食事業。それを黒字化にしたのが自社通販へのシフトだった。アフターフォローの細やかさは次回の購入につながり、徐々に事業を好転させた。そして、その立役者となったのが、独自開発素材により製造した「セサミン」だった。「アラビタ」など新製品の販売などにも取り組み、事業を拡大させる同社・健康食品事業部の新免部長に事業黒字化までの道のりと今後の展開を聞いた。

新免芳史氏写真

Q:サントリーが健康食品事業に進出した経緯は。

もう撤退してしまったのですが、以前は医薬品事業を行っていたのです。佐治敬三(同社元会長)は理科系の人間なので、医薬品事業で世の中に貢献していこうと思ったのでしょう。そんな中で、キシロオリゴ糖、ウーロン茶ポリフェノール、甜茶、アラキドン酸、セサミンなど健康に役立つ素材を見つけました。1985年に社内に応用微生物研究所ができて、食品・化粧品などの素材を開発する部隊ができました。微生物発酵技術を生かしたものや、植物成分を抽出したものを研究し、87〜88年にかけて販売していました。素材事業は、「セサミン」など自社製品が育ってきたので、多くを専業である丸善製薬様に移管しました。

一般消費者向けの商品を作りたいという願いがあり、元々食品の会社なので自前で健食を作ったらどうかという意見もありました。しかし、健康食品を作る技術がなく、踏み切れませんでした。そんな中、92年に研究開発部の中にヘルスケア事業開発部ができて、佐治敬三から「サントリー独自の商品を開発してみろ」と言われ、ゴマからできた「セサミン」の開発を始めたのです。

93年から第一号商品の販売を開始しましたが、ずっと赤字でした。2001年に通販事業をメインに据えた戦略に変えたところ、黒字化に成功したのです。黒字化は徐々に達成しました。素材を独自開発したため知名度がゼロからのスタートだったので、広めるのに時間がかかりました。

Q:通販のノウハウはもともと持っていたのですか?

グループ会社で通販を行っていたので、通販のノウハウは持っていました。しかし、健康食品の通販という専門通販のノウハウはありませんでした。ラッキーだったのは、「セサミン」という商品に商品力があり、1本を無料で差し上げるキャンペーンなども行ったのですが、1本飲んでもらえれば健康に役立つということが伝わり、思いのほか順調だったことです。広告出稿などの投資回収率が非常に高かったのです。ゴマの説明をするだけで、多いときは20〜30%のお客様が次回の購入に結びつきました。体感した方が多かったのだと思います。総合通販と専門通販の違いは、専門通販は売った後に相談を受けながら継続してもらうことが大事ということです。対話が顧客との絆を深められます。通販成功の条件は、コピー、商品、アフターフォローです。

通販の媒体には、自社カタログ、紙媒体への広告出稿、ラジオ、CS、ネットなどを利用しています。レスポンスが落ちているご時世なので、手を変え品を変え提案しています。ほかに学会でエビデンスを発表することと両輪でやっていきます。

Q:「セサミン」について教えてください。

(1)ゴマは擂らないと体内に吸収されないが、「セサミン」は吸収されやすい、(2)ゴマの半分は油なのでカロリーを気にされる方は抵抗があるが、「セサミン」はゴマ油を取り除いている、(3)ビタミンEを組み合わせることで相乗効果が非常に良いなどの特徴があります。共同研究は京都大学・農学部の清水昌教授と九州大学・農学部の菅野道廣教授を皮切りにスタートし、現在に至るまで2桁以上の数に上る大学や研究機関などの先生方に科学的データを出していただいています。

Q:人気商品ベスト3は。

1位が「セサミンE+」、2位が「DHA&EPA+セサミンE」、3位が「グルコサミン&コンドロイチン」です。これから伸びるのは2003年に開発した「アラビタ」だと思っています。これは、アラキドン酸とドコサヘキサエン酸、アスタキサンチンを配合し、聡明な毎日をサポートするというもの。DHAの酸化を防ぐ「DHA&EPA+セサミンE」も3年前に出した商品です。今後については商品を選びながら1年に1〜2品、差別化したものが出せれば良いと思っています。

Q:御社の開発コンセプトは。

他社が真似できない素材を独自開発して、価格競争に陥らない高付加価値のあるプレミア路線を取っていきたい。はやりすたりに左右されず、科学的なエビデンスをしっかり取っていきます。

Q:購入層は。

1回でも購入したことがある人は50万人規模です。中高年層、特に50代が多く、お困り度の高い人が購入していると思われます。若年層の獲得は、今後の課題です。

Q:今後の展開は。

全社的に健康志向は1つの方向性としてあるので、他事業部と総合力で三位一体となって明らか食品も開発できたらいいなと思っています。例えば、健康飲料部ではトクホの飲料などを扱っていますし。

また、ダイレクトマーケティングの手法で成功したのはこの事業部しかありません。顧客と直接対話してマーケティングする手法が広がれば良いと思います。
一研究者の希望としては、世界中の人に健康食品を提供したいという夢を持っています。それは慎重にやっていきたいと思います。


サントリー株式会社
食品カンパニー健康食品事業部
部長 新免 芳史氏
1960年京都府生まれ。京都大学農学部農芸化学科発酵学専攻卒業。サントリー株式会社応用生物研究所から研究開発部を経て、2003年4月より健康食品事業部部長。農学博士。

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